シングルスで手にした勝利の手応えを機に、より上を目指すためのラストスパート始まる | 伊達公子 公式サイト

COLUMN

2012.10.23

シングルスで手にした勝利の手応えを機に、より上を目指すためのラストスパート始まる

 手にした勝利の手応えが、次の勝利を手繰り寄せる――そんな好循環の、入り口にようやく辿りつけたのかもしれない。フランスのリモージュで行われた、ITF5万ドルトーナメント。クルム伊達はシングルスで2つの白星を手にし、ベスト8まで進出したのだ。

そもそも、ITFトーナメントにも出ることで試合数を重ね、ランキングと勝負勘を維持しつつツアーを回ることは、クルム伊達が今季の当初から想定していたことだった。だが、初夏の欧州でケガを負ったため、幾つかの大会出場を見送らざるをえなくなる。その穴埋めというわけでもないだろうが、夏の集中治療の甲斐あってケガも癒えた今、最後の追い込みとばかりに複数のITFトーナメント出場を決めたのである。

1回戦 クルム伊達 6-4 6-4 Natalia ORLOVA
2回戦 クルム伊達 1-6 7-5 6-3 Anna Karolina SCHMIEDLOVA
準々決勝 クルム伊達 6-2 4-6 4-6 Stefanie VOEGELE
 
日本からフランスへの長距離移動。しかも、前週のHPオープンではダブルスで決勝に進出したため、月曜日の渡仏である。疲労の蓄積や時差ボケなど、スケジュールや体力面では不利な面も多々ある中で、インドアの大会に挑むこととなった。

そのような中で対した初戦の相手は、予選上がりの516位の選手。相手に関する情報は全くなく、逆に相手は失うものの無い強みで全力でぶつかってくる。クルム伊達にしてみれば、やりにくい相手であり状況でもあった。

実際に戦ってみると、さらなるやりにくさを感じることになる。相手はミスが多いにも関わらず、突如として強打やエースを打ち込んでくる。理詰めの駆け引きで勝負するクルム伊達にとっては、リズムを掴みづらい相手だった。

それでも地力で相手を上回り、抑えるべきところを抑えて手にした勝利。シングルスでは久々に、トーナメントを勝ち上がる好感触を得ることができた。

2回戦も、相手の情報が少ない中での戦いだった。しかも対戦相手のSCHMIEDLOVAは、かなりの実力者であり、勢いがあった。18歳を迎えたばかりのSCHMIEDLOVAは、ランキングこそ218位。だが今年の全仏ジュニアで準優勝し、今シーズンはITFでも5大会で優勝している。今年1月の時点でのランキングは650位前後だったのだから、そこから駆け上がってきている現在の勢いは相当なものだ。

その怖いもの知らずの若手に、クルム伊達は追い詰められた。第1セットを1-6で落とし、第2セットも0-4。正に、絶体絶命の縁まで追い詰められた。だがここで、クルム伊達がペースを落とし、しっかりつなぎはじめると、若い相手にミスが目立ち出す。ジワジワと追い上げ、逃げ急ぐ相手の焦りを見逃さず、肩を並べると追い抜き振り切る。第2セットを奪い返すと、第3セットでは機先を制して先行し、そのまま逃げ切った。経験と執念でもぎ取った、奇跡的な逆転勝利である。

しかしこの2戦目の激闘が、次の試合まで尾を引いてしまった。3回戦では第1セットを奪うものの、第2セットの途中からは、疲れのためか「急激に動きが悪くなった」という。それでも、第3セット終盤でブレークポイントを奪うなど、勝利のチャンスもつかんでいた。それだけにクルム伊達は、勝てなかった現実を心から悔やんでいる様子だ。

3回戦で対戦したヴォーゲルは、2年前にはランキング60位代を記録した実力者。クルム伊達はその相手に、体調が万全でないながらも大接戦を演じた。その事実、そして敗戦に抱いた悔いは、クルム伊達のテニスと気持ちが上向きであることを示すものだ。

今大会の結果により、10月22日発表のランキングは、ちょうど100位を記録した。

来季もツアーで戦うため、そして100位以内のランキングを確保するため、より上を目指してのラストスパートが始まる。

記事:テニスナビ